①農家の次男
川柳が趣味のおじいちゃんが亡くなったのは、去年の暮れでした。
入院するも持ち直し、退院する予定日の数日前に急変、帰らぬ人となり、手元の句集が形見になってしまいました。読み返すと、生前の祖父の人柄や生活が偲ばれ、温かい気持ちになります。
祖父は農家の次男で、酒屋へ奉公に出ました。
脱穀機月を仰いで踏んだ日も
叱られて泣いたあの日の酒屋藏
河野草花(道春)
祖父自身も句集のあとがきに、
「母の止める声を後に宿泊の米二升を持ち、当てもなく故郷を出たのは、戦後間もない昭和二十二年三月のこと。程よく募集中の神戸製鋼所に入社できたのも幸運でした。〜中略〜平成三年文月好日」と振り返っています。
長年書きためた句を自費出版しようと父と祖父の試行錯誤の共同作業が、27年前です。時が経ちました。