68自分史を書いて運命振り返り
拾網に残る潮の香蝶とべり
しゅうもうに
のこるしおのか
ちょうとべり
道春(蝶、春の季語)
ごめんなさい。また、春に戻っちゃいました。春の句が多くて。道春だけに。
おじいちゃんの句を読みにきて下さり、ありがとうございます。
拾遺(しゅうい)という言葉があります。
意味は、漏れ落ちたものをひろって補うこと。
たぶんしゅうもうと読むと思います。漁町に行くと、無造作に干された網に人間の動というか、営みを感じますね。
また、蝶は春、ふわふわ、ひらひら、静かに気の向くままに飛びます。
良い季節を思わせる句でもあり、当たり前の日常を感じます。
あみ自体が季語になることもあります。
鯛網(たいあみ):春の季語
鰤網(ぶりあみ)冬の季語
投網(とあみ)夏の季語
また、網を思想的に表す言葉もありました。
天網 恢恢 疎にして失わず
てんもう
かいかい そにして
うしなわず
老子さん、ある宗教の元祖と言われる人に影響を与えた元祖の元祖の人らしいです。
ここで言う網は、何といったらいいのでしょう。神さまが、天から地上に張り巡らせた網という意味で、全体的には、人の道をはずすと、必ず天罰が下ると解釈されます。
「恢恢」は、網の目が大きい
「疎にして」は、粗く
「失わず」は、漏らさずとも言い換えられるそうです。
天網は冬の菫の匂かな
てんもうは
ふゆのすみれの
においかな
飯島晴子
冬の菫、冬の季語
読み手に訴える作風の方で、冬のスミレに匂いはほぼ無い。しかし、無色透明な存在ではなく、厳しい社会の目というのは、恐ろしい紫色に、がんじがらめになるようだといった意味を込められているようです。
中国では、AIを用いた監視カメラのコンピュータシステムを天網というそうです。飯島晴子さんは、そのことを知っていたのでしょうか。2000年にお亡くなりになっているので、まだ、そんなに普及していないでしょう。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
息子は、蒸し暑さに布団をかぶらず、お腹をわざと出すので、監視カメラのように様子をみて、眠れなくなりました。明日は、更新しません。寝ます。