110やなせたかしさん、追悼
詩集「おとうとものがたり」は自分だけの感傷として、
弟へのレクイエムとして、墓前には供えたいが
僕の個人的な感情にすぎないから、世間の人に読んでいただく気は
毛頭なかった。 (中略) (しかしまわりの勧めで刊行されることになって)嬉しいような気恥ずかしいような妙な気分である。 フレーベル出版『おとうとものがたり』 詩・画やなせたかしより引用
この本は、雑誌で連載された記事をもとに、2014年9月発行されました。
幼い頃からともに過ごした弟さんを戦争で亡くされたこと、 記憶の中の弟は、若いままで、高齢になった自分と照らし合わせると 悲しみは、今頃になって深くなっていると、書かれています。
18篇の詩と絵で振り返るのは、
父の病死、母の再婚、叔父宅に居候の自分は、養子になった弟の兄という存在であったこと。
星空の下で負ぶわれている5歳ぐらいの男の子は お手伝いの女性のあたたかい背中で眠ります。
お手伝いの女性に優しくされた思い出の絵は、
アニメ映画にもなった「やさしいライオン」の表紙絵を彷彿とさせます。
その後、テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放送されたのは、やなせさん69歳の時でした。
弟にこずかいをあげた話(十円もっていて三円)はもっとあげればよかった、
兄弟げんかで弟をやり負かしたことに、わるいことをした。
やなせさんの弟への思いは、涙なくしては読めません。
2013年、10月13日94歳で弟さんのもとに旅立たれました。
ということは、この本は、なくなられて発行されたんですね。
私事ですが、息子は、アンパンマン大好き。やなせさんありがとうございます。
本日は、川柳、俳句から脱線しました。秋が終わることに焦ります。