感想その2 水原秋櫻子著「例解俳句作法辞典」
しゅうおうしさんの本を紹介しております。
俳人でもあり、皇族に仕えるお医者さんでした。
その編集能力は、息子の春郎さんも認めるところだそうです。
そして初出は昭和25年の戦後間もない作品であり
現代にそぐわない題材の俳句もあるが
敢えて省かなかった。
面白いからとにかく読んでほしいという春郎さんのメッセージを読んだところでした。
俳句といえば、季語をいれなきゃですが、
詠みたいことをいかに季語と織り交ぜて詠むかといった
難しさ、その面白さに、秋櫻子さんは真摯に向き合っています。
もくじは、
人間の喜怒哀楽もった「こころ」を詠むにはどうするか
からはじまって、
家族、老いや若さにフォーカスを当てた「ひと」
ペンやライターといった「日用品」
衣食住、職、交通機関、趣味、病という項目に分かれています。
面白さはどういったところかといいますと、
例えば、「日用品」の燐寸(まっち)、「食」の釜、「住」の菜園、鶏舎、また、「交通機関」としての自動車の項
~作中より引用
だと息子さんは語っておられます。
そうなんです、車が普及していない時代の俳句には
車に対する強い憧れが溢れています。
作句に対してはときに、厳しく、ときにユーモラスに解説されています。
答=秋櫻子さん
問=インタビューするヒト
答 まず題があってそれから材料を考えるのではなく、詠まずには居られぬ材料があって、そこから直接出発していくのです。(略)
答 題を出されて、自分の見もせず、経験もせぬことを詠む人も絶えないでしょうね。
問 それでは私も、もう題詠をする句会に出ることは止めます。(略)
答 それほどにすることもないのですよ。
作中より引用
「お友達との付き合いもあるでしょう。」とつづきます。
秋櫻子さんのとってもまじめな文章に笑わせてもらいました。
この本は祖父の本棚から拝借してきました。
祖父が、題によってできた句ばかりと恥ずかしがっていたのは、
この本を読んだからだと思います。