桑摘みしことも遠き日蚕種(さんしゅ)の碑 (晩春)道春
日本の暦では、3月のことを弥生(やよい)という和風月名があります。
草木がますます生い茂ってゆくといういみです。
また3月は、蚕月(さんげつ)ともいわれ、養蚕がはじまる時期だそうです。
餌である桑の葉がよく採れ、暖かいころ春蚕、夏蚕、秋蚕と、晩秋蚕と年4回飼育します。5月から10月が最盛期のようです。ここから虫の嫌いな人はご注意ください。蚕種とは、蚕のたまごです。
桑摘みしことも遠き日蚕種の碑
くわつみし
こともとおきひ
さんしゅのひ
道春
下関市長府の忌宮神社(いみのみやじんじゃ)の境内に、蚕種渡来乃地という記念碑があります。
昭和8年養蚕業者により建立された石碑には、14代仲哀(ちゅうあい)天皇がこちらに滞在中、秦の始皇11世の子孫 功満王(こまおう)が蚕種を献上したのが養蚕のはじまりと記されています。
蚕を飼った経験がなければこの句は出来ないのではないか‥
詳細はもうおじいちゃんに聞けないのですが、海を渡り伝えられたこの歴史に想いを馳せた日がありました。
桑の芽や仰ぐ渡来碑大文字に
くわのめや
あおぐとらいひ
おおもじに
道春
3月28日、石碑のまえでは蚕種祭が催され、蚕の繭を模した茶菓子がふるまわれます。
石碑の隣には、桑の木が生えています。
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