感想 「話し上手」著者 本明寛 発行元 日本生産性本部
けっこう癖のある文章だと思いませんか?
心で話せ
人間の人間たるゆえんは、自己以外の人に対して、やさしい眼差をもつことである。
相手を思い、相手を察して話さねばならない。
コトバは道具であり、絵の具である。コトバをいえば話が通じるというわけにはいかない。
コトバは使い手の心のあらわれであって、どうとも感じられる素材なのである。(中略)
うまい絵にはならないが、この調和の具体的なやり方をこの小著はとりあげたつもりである。
〜作中より引用〜
図書館でたまたま目につき、この裏表紙の言葉に惹かれました。むかしの人の正義感のような、祖父のようなまなざしをかんじます。
筆者は、心理学を教える早稲田大学の名誉教授でした。
もし、大学の教授ではなかったら、トレンディドラマの脚本家か、小説家になれるのではないかと思う程、会話のシーンを細かく再現して本書は始まります。
落語を聞いている様だと言う生徒さんもあったようです。
日本健康心理学会の初代理事を務め、こころを健康に保つこと、精神的成長を目指す自己啓発本の著書は多数。
簡単にかいつまんで書きますと、
こころの部分には、3つの顔があるという先生の持論がありました。
この考えは、カナダ生まれの医学者、交流分析学のエリックバーンの考えを汲むそうです。
親分のかお
5歳までに両親に刷り込まれたもので、生涯を通した行動基準
そうすべきである、そうしなければならない、大変なことになるぞ(おどし)
子ども分のかお
こどもっぽい情動的な表現
ほしい、してちょうだいという欲求を通せない欲求不満感、わがまま、甘え、敏感、感情的に受け取る態度
かっときたね、よくわからない、ぼくにできるわけがない、かわいそう
おとな分のかお
自分で考え選択した社会経験に基づく考え
見通しの力がある、
相手に自信をもたせる、激励する答え方
社会的役割や職業による発言
何がいつだれがどうなっている、事実は‥
親分の心が良いとか、子ども分の心が悪いという訳ではなく、おとな分の心で話す分には、会話がスムーズになり、問答無用な決めつけや、感情的な反応は、お互いの気持ちが交錯して、対話の不快さを招くというおはなしでした。
どの顔も皆持っているんですよね。
あなたも私もともに良いという関係にもっていけたら、きもちいいようです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。