156飯田龍太著 鑑賞歳時記冬を読んで
この本は、1995年角川書店から発行されました。
自作の句を自分で解説するシーンもありつつ、
自ら秀句を得ることは、もとより俳人としての切実なねがいであることは言うまでもないが、私は他人の秀句を見出す喜びを欠いては、俳句の真の醍醐味は得られないのではないかと考えている。(作中より引用)
として、無名有名問わず、名句の鑑賞を楽しめる歳時記です。
山眠るころの冬は、色々な面があります。
返り花(季節はずれの花)という季語には思い入れがあるそうで。
極寒期を前にしながら、吻っと安らぎをおぼえる冬暖のひと日、
目についた山つつじの鮮やかな返り花、
その姿を見るのは、いい俳句に出会った時と似た感覚があるといいます。
また、いまは亡くなった小春日のような性格の俳人を思い出すそうです。
俳句で死について捉える時、他にかえがたいそれぞれのリアリティ、個々の主観がありますが、それを万人に通じる共感へもっていくむずかしさがあります。
筆者は、最後の生の描写の秀逸さがひかる作品を見出し、俳人の腕前を褒めていました。