106只の糸に非ず
カンナ緋に寄る一門のひと部落
道春
平成三年
市芸術祭入賞
(カンナ、秋の季語)
おじいちゃんの句集最後の句です。
かんなひに
よるいちもんの
ひとぶらく
カンナには二つ意味が重なっていて、
大工さんの道具とも、
赤胴色の花を咲かせる植物にもとれます。
緋は、単体の意味では、火のような濃く明るい紅色、緋色(ひいろ)、緋鯉(ひごい)などといった使い方をします。
緋糸占い(あかいいとうらない)のような使い方をしているサイトも見つけました。
句のなかで、どう解釈すればいいのか、悩みましたが、私は、きずな、人と人との結びつきに見えました。
親から子へ一門、家族の技が、引き継がれることに敬意を払っているように感じます。群生しているカンナの写真を頂きました。
色んな時代背景もありそうです。きっと選者の方には、伝わったんでしょう。最後を飾る俳句に、祖父の自信を感じました。